HUMAN

2016.04.11

林 敏美


14年続く北見のヴィンテージウェアショップNUT’S WEARHOUSE。そのキャリア、こだわりから今や道内外に多数のファンを持つ同店。黎明期を知る店長林氏に過去から現在のNUT’S WEARHOUSEを聞いた。

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——NUT’Sが始まった時のお話を聞かせてもらえますか。

厳密には自分は初期メンバーではなくて、OPENから三ヶ月後にNUT’Sに入ってるんだよね。最初はお客さんだったんです(笑)あまり知られていないけど。

——敏美さんって開店当初からのスタッフじゃないんですか?それはすごく意外です(笑)

元々自分が中学校くらいの時から俺の兄貴(オーナー)が古着を着てて、その影響もあって古着にどっぷりのめり込んでいったんだけど、オーナーがNUT’Sをやるって時からずっと誘われてて、最初は接客なんて無理だって断ってたんだよね(笑)

それでもグイグイくるもんだからノリでね(笑)それで三ヶ月目にしてやっとNUT’Sに入ったのがスタートかな。あっNUT’Sって店名の由来とか聞きたくない?

ナウガ

——知りたいです(笑)

NUT’Sの「NUT」って「何かにのめり込む、狂う」って意味で。この業界でやってくなら狂うようにやって行こうぜ!そんな「古着狂」って意味を持たせたネーミングなんだよね。実はNUT’Sの「’」がないNUTSはスラング用語で”キ○タマ”って意味でさ(笑)。まぁ、後者の意味も内包してるってのはすごく僕らも気に入ってるところなんだよね。

——(笑)今年で14周年を迎えるわけですが、その間OPENから現在に至るまでどんな変化がありましたか。

NUT’Sで働く事になってから店長として店頭に立っていて一番思うことは、「学生たち」の変化かな?当時、お客さんとして店に遊びに来てくれた子たちって、凄い勢いで自分にガツガツ当たってきてくれる子たちが多くて。元気ある学生ってすきだったなぁ。今でもそういう子たちはいるんですけどね。ただ体当たりしてくる子は減ってるかな。ウチが銀座通りでOPENしたばかりの頃ってまだ街には他にも古着屋があったし、歩いてショップを見て回る人たちが多くて常に賑わってた。その頃求められてた古着って、手頃に買えるレギュラー古着が多かったんだよね。薄い色のダメージ501だったり。今の真逆です。

内装

——古着ブームもありましたよね。厳密にはOPENより少し前になるかもしれないんですが、どんな影響がありましたか。

当時の古着って、必ずと言っていいほど大ヒットアイテムがあって多くの人に古着が知れ渡っていったよね。古着が本当に好きっていう人だけじゃなくファッションとして当たり前の様に古着を取り入れる人が居て今よりずっと軽いノリで来店してくれるお客様が多かったです。ヴィンテージが求められる今に比べると楽?な時代でしたね。——古着・ヴィンテージの魅力はどんなところですか。

古着って人によって楽しみ方が沢山あるよね。古着のうんちくや知識を踏まえてヴィンテージを楽しむ人、単純に雰囲気、カッコ良さ、見た目の可愛らしさが好きでレギュラー古着を楽しむ人、僕みたいにヴィンテージとレギュラーを組み合わせて古着を楽しむ人、新品と組み合わせ古着を楽しむ人だったりね。一言で言えば楽しいって事かな。

——知識という点で言えば、こうやって自分の街にアンテナショップというか情報をゲット出来る場所があるというのはファンにとってはすごくありがたいことだと思います。

やっぱり実物を見て触れてって出来ることはすごくいいことだよね。自分もその瞬間はすごく楽しいし、これからもずっとそうだと思う。あとは色んな話や知識だったりを実際に触れながらNUT’Sのお客様と共有出来たら最高だと思っています。

——14年間もの間、そうしたことに身を置き続けて、築いてきたキャリアや経験があるわけじゃないですか。それだけに説得力がありますよね。

年数はそんなに意識したことはなかったけど(笑)ファッションって「流行り、廃り」てよく言われるよね。でもウチはそうゆうことじゃなくて、自分たちがカッコいいって思った物をアメリカから北見に持ち帰ってそれをNUT’Sから提供しよう、NUT’Sから発信しようってことを心がけて今まで続けてきて、今のNUT’Sがあるんです。

としみさん

——以前、業界の流れに沿うのじゃなくて、流れそのものを新たに創り出すんだってことをおっしゃっていたのがすごく印象的で。それって実際すごいことですよね。このナウガにしたってそうなんですもんね。こうやって個性や強みをどんどん出すことで、NUT’Sここにありってことが街の外にも発信出来るんじゃないかなと。

ありがとう、そうなっていけるようにこれからも頑張ります(笑)道内外問わず街の外の人にも本当に認められて来てるなって実感はあります。ウチは特に商品のコンディションに力を入れて仕入れをしてるんだけど、通販の際も事細かに情報を伝えて、ケアもしようと心がけてて。通販で購入してくれた遠方のお客様からわざわざ連絡が来て感謝されることすらある。それも一回二回の話じゃなくてね。なかなか自分でも通販した先にクレーム以外でもう一回連絡するってことはないよね(笑)それだけこちらの配慮に気付いてもらえたり認められたり感謝されることがあるっていうのはとても嬉しいし、励みになってます。

——このインタヴューの企画は独自性の発見というのがテーマとしてあって。そういった魅力があるからこそ、ここじゃなきゃいけない、ってことに繋がっていくんじゃないかなって思ってるんです。例えば一万円の値がついてるのだとしたらその中には物としての価値にプラスして、さっきの話のようなお店のサービスも含まれている。

物だけゲット出来ればそれでいいっていうのはその部分をおざなりにしたすごく貧しい考え方なんじゃないかなと。それってすごくもったいないことだし、

絶対になくしちゃいけない文化だと思うんですよね。これは業種やお店関係なく言えることですし。

もちろんウチに来てくれる人達には今まで以上にこれからもどんどんNUT’Sとして出来ることを提案していきたいし、伝えていきたい。そしてこの街の外にもNUT’Sって名前がもっと轟くように、止まらずどんどん発信し続けることをしていきたいです。あと個人的には来てくれるお客様にもっと楽しんで、喜んでもらえるようになりたいです。正直、自分は接客が下手なんです(笑)ありのままの自分で向き合うことでお客様と楽しい時間を共有出来たらなと思っています。自分自身も今その状態がすごく楽しいし、心地いいんですよね。仕事もプライベートも「楽しむ!」これに尽きると思って日々過ごしています(笑)

としみさん2

林 敏美(はやし としみ)

1981年生まれ、美幌町出身。2001年、NUT’S WEARHOUSE OPEN直後より店頭に立つ。今や道内外に多くのファンを持つ同店の店長を務める。

※MAGAZINE 1988 VOL.3掲載

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