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2016.04.09

こうすけのぽつりひとりごと

第五回 来

 病室の窓から見える木の葉が日に日に寂しくなる秋。最後の葉が散るとき僕の命もなんの価値もなく散るのだと思うと涙も出ない。さして何かを残すこともなく過ぎた人生。人々の記憶からもどんどん消えていくのだろう。たいしたハイライトもない凡庸な人間で平凡な日々だったと病床で一人今際の際にこう思うだろう「もっとセックスしたかった。」と。
 
 職業柄僕の所には多種多様な職種の人が訪れる。興味深い話もたくさん聞けて考えさせられることもしばしば。

 僕らはよっぽど早めに闘病を経ない限り当たり前に老いさらばえていく。目はかすみ、耳は補聴器、腰もまがる。誰もが抗えない自然の摂理の残酷さに目を背け続けたい。
 
 先日僕のスタジオに老人介護の仕事をなさっている方がいらっしゃって一言残していかれた「老人の性…ハンパない。役所に定年があってもセックスに定年はない」と。
 あまりに名言過ぎてスタジオのドアが閉まったあとも深くお辞儀し続けたのは後にも先にもこのときだけだ。

 老人介護施設の中の世界など全く知らない世界だし、目を逸らしてきたところでもあるので情報がまるでなかった。自分が中学生のときに祖父がオナニーとか3回り下の女性にクンニしているとか誰かに口でしてくれといっているなんて想像すらしていなかった。していたかは知らないが。とにかく老人というものは性からフェイドアウトするのが当然と思っていた。老人ともなるとチンコはなくなりおちょんちょんは石化するとさえ思っていたほどだ。
 しかし、老人にも性欲はあるようだ。風俗嬢の友人に話を聴くと客には60歳以上の方も多いらしい。中には80代もたまに当たるそうだ。勃ちは悪くはなるが全く勃たなくなるわけではないそうだ。更なる勃起を呼ぶために今ではカマグラ等の勃起をお手伝いしてくれるお薬も簡単に手に入るわけでEDの夜明けは近いぜよ。
 それとは反対に女性はセックスから遠ざかるという。それは何故か。閉経するとあまり濡れなくなるそうで性交痛が嫌でセックスから遠ざかるというデータがある。黄昏流星群で何度かそのような描写があったので納得だ。しかし、そんな乾いた女性の強い味方ローション(天然由来)、それについ先日アメリカで認可された女性用バイアグラ、そしてすぐさまタイで製造が開始されたそれのジェネリックであるラブグラがそのあたりの女性のお悩みも解決してくれるはず。潤え!乙女!
 
 性に終わりのない業の深い生き物それが人間だ。

 老人介護施設の中に話を戻すが、施設内でのセックスが蔓延しているそうだ。単純に高齢ではあるが男と女に変わりはないのは前述したとおり。高齢になればなるほど人と出会う頻度が低くなるのに老人介護施設では入居、即、ボーイミーツガール。エンドレスサマー。いい感じに出来上がる老カップルも出てきて当然なのかもしれない。そもそも高齢ゆえに生殖を目的としないセックスのため荒々しいセックスは必要ではないので割とどこでもクイックにやれてしまうらしい。専門家はこれを「繋がる性」と呼んでいるらしい。なんにでも呼び名というものがあるものだと感心してしまう。要はちょっと先っぽ入れながら抱き合うだけでいいそうだ。それだけで通常のオーガズムを凌駕する多幸感が得られるという。
 しかしだ、問題もおこるという。男性に限った話のようだが性機能の減少と共に性的倒錯傾向が見られる老人も出てくるそうだ。ある日入居者の引き出しから児童ポルノが出てきたときがあったそうでそのときは大問題になったようだ。せめてSMとかスカトロにいけばよかったもののよりによって児童ポルノはまずい。だが当の本人は何が悪いのかわからないといったテンションで決して非を認めなかったそうだ。チンコに芯が通りづらくなる分思想に芯が通り過ぎるのも困りものだ。

 僕らもダッフルコートを着て銀杏並木を歩ききった先には「老い」が待ち構えている。Oi-PUNKは大好きだが老いは受け付けない。今際の際に「Oi!Oi!Oi!もっとセックスがしたかった!ファック!」と思うかもしれないがその数日前には誰かに抜いてもらっているかもしれないと思うと臨終も少しは怖くないかもしれない。

こうすけのぽつりひとりごと

Kosuke Goto (inc cat tat2)

某フリーペーパーにて掲載されていた往年の名作コラムが1988にて復活!

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