1988年生まれにスポットを当てる、ABOUT 1988。今回は10代の頃よりDJとしての活動を始め、現在も毎月第4土曜日にKANDATAで開催される『BLOWOUT』の主宰、東 健太。一風変わったプレイスタイルについて、今までの活動とこれからの展望を聞いた。
日本語が一番しっくりきて、一番言葉の持つ力が発揮出来る。
中西(以下、中)最初はどういう経緯で音楽を始めたの?
東 元々、姉ちゃんとかがHIPHOP聞いてて、その影響で中学生の時から聞いてたんだけど、そこからかな。ターンテーブル買って友達と練習して・・・実際に初めてclubでプレイしたのは高校生になってからで、小湊さん(小湊商店)のパーティーでやらせてもらったんだよね。
中 その時のことってなんか覚えてる?
東 覚えてる(笑)もちろん何にも出来なかったよ(笑)曲順とかカンニングペーパー作っていろいろ仕込んだんだけど、緊張で手が震えるし、カンペ見るのも忘れるくらい(笑)
中 その頃から数えてもう10年以上になるわけだよね。ここまでくるまでに色々と試行錯誤があったと思うんだけど、途中からかなり珍しいタイプの「日本語HIPHOPだけをかけるDJ」として、どんどん今のスタイルに近づいていくわけだよね。そこにはどんなこだわりがあったの?
東 洋楽を聞いたり、はじめの頃はいろんな音楽をかけたりしてたんだけど、やっぱり一番最初の入り口だった日本語のHIPHOPってのが自分にとって一番しっくりきて、気分が上がるなっていうのに気づいて。周りにそうゆうことしてる人がいなかったってこともあって、やり始めたかな。やっぱり日本語が一番言葉の持つ力が発揮されると思って。自分の言いたいことを伝えることが出来るよね。
中 一言でコレって言えるスタイルが築けたのは大きいよね。同じことやってる人が周りにいないってのも。DJ HiGA=日本語ってさ。健太がそのスタイルでDJをやり続けてきたおかげで、興味を持ったり聞き始めたりした人も少なくないと思うんだ。いい音楽をどんどん健太が提供してくれるわけでしょう。DJに対して我々が求めるものってそういうことだと思うし。最近はパーティーに毎回のようにビッグゲストを呼んでたりするのも魅力だね。よりいいものを届けてくれるっていう。そうゆう機会のおかげで、今までよりもっと興味を持つ人が増えて行くよね。
東 昔から知ってたり、今すごくかっこいいなと思ってるアーティストを自分が主催する場に呼べるってことがすごく嬉しいだけだよ。ビッグゲストっていうのは俺にとってはもうアイドルみたいなものだからさ(笑)この人呼べちゃうんだ!すげぇ!みたいな。
中 主なところでは今まで?
東 メシアTHEフライ、RUMI、MC漢、FORTUNE D、DJ KAZZMATAZZ、DOGMA、RHYME BOYA、MILES WORD、BLAHRMY、DJ 琥珀、CQ、DJ MUTA・・・これだけでもBLOWOUTが始まった2年でかなり来てもらってる(笑)
中 実際キツかったりもするでしょ?(笑)こんなに呼んでたら儲けどころか赤字の可能性だって大いにあるわけだし。リスクを負いながらもそうゆう場を提供してくれるから、お客さんにとってはとても価値のあることだと思うし、ありがたいことだよ。まして何人かで協力したり分散したりするわけじゃなく自分が先頭に立ってやってるわけだし。
東 毎月毎月違う形で日本語だけでプレイできる人ってなかなかいないからね。本当はクルーになって、話し合ったり協力してやりたかったりもするんだけど、今は一人でやるしかないから。その姿を一緒にやってる慎也(DJ SHINYA)が見てるから何か学んだり感じてくれればいいなとは思ってるけど。あとは単純に自分自身が楽しめるパーティーを作ろう、日本語だけしかかからないパーティーを作ろうって思ってる。今年は何も考えず、ブッキングがきたらやりまくってるし、これからもやっていくよ。
中 逆に健太が地方に呼ばれるってパターンとかはないの?
結局作品を出さないことには、向こうもギャラを出せなかったりするから、なかなか難しいね・・・。こんな田舎者でどんな音楽をやるかもわからないヤツに飛行機代出してギャラ払ってってことにはならないでしょ(笑)だから今は作品を早く出したいなっていうのがあるんだ。それこそ今、有名なゲストにたくさん来てもらってるってのもそれに関係してて。北見に来てもらってその繋がりでDUB(原曲に新たに歌詞を付け加えること)を録って、北見のことや俺のことだったり、この辺のことを歌ってもらってる。そうゆう曲ばかりの作品を作りたいなと思ってるんだよね。
中 「DJ HiGA」と、「北見」って場所を業界に示せるいいきっかけにもなるよね。
東 そういうのを目指すのがいいよね。とりあえず早く作品を出したいね。出さないと始まらないから。出してやっとスタートライン。名刺を持ったってカンジ。ちゃんとプレスして流通させていかなくちゃ。
中 結構特殊なことをやってるにも関わらず、健太のパーティーにはお客さんちゃんと来てるし、しっかり根づいてきてる気がする。あとはどんどん外に対しても発信していけたら最高だよね。そういう独自性って絶やしちゃいけない流れだと思うし。
東 いい街だよね。音楽をやってる人も、その人たちがやってる事に対しても、「こんな地域にこれだけの文化があるんだ。」って、来てくれたアーティースト達は驚くし、すごく気に入ってくれる。最初から音楽をめちゃくちゃ好きとかじゃなくても全然いいと思うんだよ。「モテたい」とか「出会いがたくさんありそう」とか、始めるのはそんな不純な動機で全然OK(笑)そのうちにこのシーンのことをわかってくれたり、楽しみがわかったりしてくれたらすごく嬉しい。それはプレーヤーであっても、お客さんであっても。昔は、DJって今よりもずっと厳しくてチケットのノルマもあったし、それ越えないと自腹だったりガソリン代もらえなかったりだった。そんな下積みの中で、いい時間にプレイさせてもらえるチャンスがあれば、すごく考えたし本当に嬉しかった。「今日オープンじゃねえ!」みたいな(笑)そういう些細なことでもおもしろかったし、忘れられない。俺が唯一続けられてることだしね。昔は27歳ってもっとガンガン東京にも行って作品も出してバリバリやってるんだろうなーって思ってたけど、実際はまだ数回しか呼ばれたことがないし、全然まだまだ。でもこれからも好きな音楽を続けて、東京だけじゃなくいろんな地域に行って沢山の人と繋がって、そこからまたこっちにフィードバックしたい。俺はずっとカッコイイ先輩達の下でやってきて、いろんなことを教えてもらったし、学んだからさ。そうやって俺も徐々に下の世代にも伝えていけるようになれたらなと思ってるよ。
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