ALI
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
監督:デレク・シアンフランス
出演 :ライアン・ゴズリング ブラッドリー・クーパー 他
まず、今回ご紹介する作品は今月のテーマである「ファッション」については一切触れたりなんかしてないヒネクレスーパーミスチョイスとなっております。
プレタポルテやプラダを着た悪魔みたいにファッション業界でどーたらこーたらってゆーのは皆無だし、ウェス・アンダーソン作品などのハイセンスファッションを楽しめるようなアレとも違います。なんだかスンマセン。
しかし、今回のお題とは全く無縁なこの『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』という作品の、ライアン・ゴズリング演じる主人公のルークから僕は一つだけ、しかし強烈に「ファッション」を感じてしまったわけであります。
【ヨレヨレのTシャツを裏返しに着る】
ただTシャツを裏返す。このワンポイントに集約されたそのファッションセンス。一歩間違えばただ裏表間違えちゃってるイタい子になってしまいそうなとこを、ヤツは何の違和感もなくカッコイイと思わせてくれるのです。もしかしたらホントにただ間違えてるだけなのかも・・・いや、むしろTシャツの裏表とかどうでもいいし。って思考なのかも。だとしたら尚更痺れるじゃん。ちなみにライアン・ゴズリングは僕とタメです。悔C。でもカッコE。
全身に鏤められたタトゥー、狂気と優しさとが入り混じったワルのスメル。バイクショーでその日暮らしの金を稼ぎ、不器用な生き方しか知らないハンサム・ルークは今日も危ない橋を渡っていく・・・
健全な映画オタクならば過去に一度は経験したであろう、映画を見終わったあと発症するあの病気
「マネシタクナル症候群」
ブルース・リーのトラックスーツ然り、トラビスのモヒカン然り、デュードのホワイトルシアン然り・・・カルト的人気を誇る傑作からは、ファッションなり振る舞いなりをどこか影響されてしまうものです。
しかし僕は、ホワイトルシアン片手に週末の夜を千鳥足で歩くことはあっても、ヨレたTシャツを裏返すというハンサム・ルークのそれを、いまだに真似することが出来ません。そう、僕がそれをやったところでなんかイタいことになるのは目に見えてるイルから。つまり「ファッション」というのはその人間の生き様ありき、で輝くモノなのだとこの作品を見て強く感じた次第であります。
あ、全然映画のレビューになってねーや。まぁそんな時もあります。とりあえずアメリカン・スナイパーでいま話題のブラッドリー・クーパーや、若手最注目のデイン・デハーンくんも出てるんで見て損はナシ!オススメです!
ISSE
ズーランダー
監督:ベン・スティラー
出演:ベン・スティラー クリスティン・テイラー 他
バカ映画である。「ナイト ミュージアム」でおなじみのベン・スティラーがファッション業界のスーパーモデルとして繰り広げるおバカなコメディ映画。
ズーランダーは、超売れっ子でモデル・オブ・ザイヤーを3年連続で受賞し、ファッション業界の頂点に君臨。特に、ブルースティール!と名づけた、目をカッと向いて口を尖らせるキメ顔が武器で、ことあるごとに連発し、街を歩けばみんなにキャーキャー言われ、ファッション・ショー、雑誌、テレビ、CMと大忙しであった、が、しかし。ライバルにモデル・オブ・ザ・イヤーを阻止されてしまい、畳み掛けるようにして、旧知の友人を事故で亡くし、田舎の実家に帰っても両親から煙たがれる。
落ち目となったズーランダーに一本の電話が鳴る。大物デザイナーに呼ばれファッションショーに出てほしいとのこと。大手を振って出演を決めるも、実はファッションモデルを催眠術にかけ政治家の暗殺を企てるものだった。と、ここまで書いたが、実際、ストーリーはどうでもよい。ナンセンスでギャグが満載で、バカバカしく笑える安定のハリウッド映画である。
(キメ顔・ブルースティールをもって、ライバルとファッション・ショーのランウェイを行き交う光景は笑いの神様が降りていると思う)
ただ、この映画の狙いって、ファッション業界を舞台におバカなキャラクターをスーパーモデルに仕立て、笑い飛ばすこと。結局、モデルって中身空っぽなんでしょ、と。
ここで誤解を恐れずに言いたい。ファッションの本質って、やっぱり表面の見える部分に全てがかかってるんではないか。(怖いから有名人の言葉も引用しちゃう、笑)二十世紀を代表するアーティスト ウォーホルもこう言っている。「もし私のすべてを知りたいのならば、作品の表面だけを見てくれればいい。裏側には何もない」
その意味って、きっと小難しいことを考える必要なんてなく、いま、そこに見えている目の前の美しさや喜びを素直に感じること、これだと思う。
ファッションって、人間の直感みたいなものを刺激するようなものなんだろうなとふと思う。