FEATURE

2018.04.10

道東誘致大作戦レポート!


2018年3月12日〜14日の3日間、道東・オホーツク地方で『道東誘致大作戦〜2018冬〜』行われました。

このイベントは、オホーツク・釧路・十勝でそれぞれローカルメディアを運営する4名がクラウドファンディングで支援を募り、一番多くの支援を受けた地域でツアーを開催するというもの。
目標金額60万円を大きく上回る84万6000円、98人からのご支援をいただき、接戦の末、一番多くの支援を受けたオホーツクの地で、イベント開催が決定しました。オホーツクの魅力を存分に詰め込んだスケジュールでゲストをアテンド。ゲスト5名によるトークイベントを開催し、実際に訪れた各地の魅力や道東の未来について徹底的に語り尽くしてもらいました!

イベントの概要はコチラから!
道東の垣根を超えるイベントが開催!道東誘致大作戦〜2018冬〜

それぞれに想いを抱え、ウェブメディア界隈を巻き込み、SNSを連日賑わせたこのプロジェクト。道東地方に何をもたらし、どのように波及し、どんな影響を与えたのか?
二泊三日の行程を同行し、一番ニュートラルな視点でプロジェクトを見守った佐崎 リョウがレポートします!

ゲスト -第一線で活躍するローカルおじさん達-

藤本 智士さん

1974年生まれ。兵庫県在住。雑誌「Re:S」編集長を経て、秋田県発行フリーマガジン「のんびり」、webマガジン「なんも大学」の編集長に。嵐の『ニッポンの嵐』や佐藤健さんの『るろうにほん 熊本へ』など書籍を手がける。近著は『魔法をかける編集』『風と土の秋田』。

参考:「ローカルにこそ編集が足りない」藤本智士が語る編集者の可能性

柳下 恭平さん

1976年生まれ。愛知県出身。世界各地を旅した後、校閲者に転身。28歳の時に校正・校閲を専門とする会社、株式会社鴎来堂(おうらいどう)を立ち上げる。2014年末には、神楽坂に書店「かもめブックス」を開店。

参考:「誰でもどこでも本屋になれるようにする」本を愛する男の小さな声

徳谷 柿次郎さん

1982年生まれ。大阪府出身。おじさん界代表。ジモコロ編集長として全国47都道府県を取材を行ったり、ローカル領域で編集業を行う。どこでも地元メディア「ジモコロ」、小さな声を届けるwebマガジン「BAMP」編集長。

参考:夜逃げ、ヤミ金、改名…理不尽スパイラルから救ってくれたのはインターネットだった。徳谷柿次郎の原点

小倉 ヒラクさん

1983年生まれ。東京出身。発酵デザイナー、アートディレクター。生態系や地域産業、教育などの分野のデザインに関わるうちに、発酵醸造学に激しく傾倒し、アニメ&絵本「てまえみそのうた」の出版。グッドデザイン賞2014を受賞する。最新作にアニメ「こうじのうた」。

参考:はじめまして、小倉ヒラクです。

小林 直博さん

生まれ育った長野県飯山市を拠点にイケてるじいちゃん、イケてるばあちゃんをスタイリッシュに発信する「鶴と亀」を2013年に創刊。現在までに4冊を刊行。2017年には写真集『鶴と亀 禄』を発売。

参考:爺ちゃん婆ちゃん×ヒップホップ!? 長野の人気すぎるフリーペーパー「鶴と亀」の制作秘話

木村 昌史さん

『インターネット時代のワークウェア』を目指すALL YOURS代表取締役。今回のクラウドファンディングでなんとツアー同行枠をご支援いただき、電撃参戦!
急遽トークイベントにも登壇いただくことに。

オホーツク ツアーを振り返る

オホーツクツアーとはいえ、北見〜津別〜斜里〜網走というオホーツクの南側がメイン。
広大な北海道、地理的な条件(北の雄武から南の斜里ウトロまで、車で5時間くらいかかります!)を考えると、二泊三日の日程ではこれが限界でした…。オホーツクにはまだまだ魅力溢れるヒト・モノのコンテンツがあるので、案内しきれないのは残念!

女満別空港に集合したゲストと同行枠の皆さん。「誰か一人たりなくない?」って思いました? ここは一筋縄ではいかないローカルおじさん達。そうです、さっそく事件です。

ゲストの一人である柳下さんがまさかの遅刻! かきまわしおじさん柳下さんがいきなりアウト。代わりにオールユアーズ木村さんがイン!
かきまわし柳下おじさんが寝坊しちゃったのは仕方がないので、これよりオホーツクツアー開始です。

最初にお伺いしたのは、北海道北見市にある環境ダイゼンきえ〜るは天然成分100%の消臭剤で、バイオの力で消臭・抗菌する魔法の液体。その原料はなんと牛のおしっこ!その成り立ちとヤバい効能を聞き、発酵おじさん小倉ヒラクさんもビックリ。余談ですが、環境ダイゼンの全社員がヒラクさんの著書『発酵文化人類学』を読了しているそうです。(付箋してある)

そして説明を聞いて、『きえ~る』を飲む柿次郎さん。飲んだ感じは味の無いヤクルトみたいで、少しトロみがあるそうです。(きえ~るは飲み物ではありません)

お昼は北見自慢の北見焼肉。焼肉のスペシャリスト、ヤキニキストの西野さんと、焼肉アンバサダーの佐久間さんがここで登場。佐久間さん曰く「北見の人は焼肉を食べてお酒を飲んで、シメにまた焼肉を食べに行く」という話に驚く一同だったが、『ヤキニキストに無理やり言わされているんだろう』という結論に辿り着き、ヤキニキストへの疑惑の念を残したまま一応の決着をみる。焼肉とってもおいしかったです!

焼肉ランチの後は、隣町に移動して、以前1988でも取材した、北海道津別町相生在住のアーティスト、シゲチャンこと大西重成さん。若かりし頃は個人プレーだった人が、70歳になってから行政と組んだりチームプレーに目覚めたところがすごい。「やりたいことを突き詰めすぎて自由になったつもりが逆に不自由になっていた」というエピソードで木村さんが涙を流す場面も。

北海道津別町にある株式会社 山上木工の三代目、山上裕一郎さん。NC工作機械を駆使し、技術力と職人の経験を組み合わせ木で作れないものはないと豪語するほどの木工会社。トークイベント会場でも自社ブランドである『ISU-WORKS』のイスをお借りすることができました。柿次郎さんがイス購入の意を示すも、突然すぎてなかなか素直に売ってくれない山上さん。しかし、別れ際に「ジモコロめっちゃファンです!」とのコメントに柿次郎さん曰く「感情の起伏どうなってんねん」。長野の柿次郎さんのお家にISU-WORKSの椅子が置かれる日が楽しみです!

 

そしてみんなが津別を訪れている時を同じくして、一人遅れて女満別空港に無事到着した柳下さん…この笑顔素敵過ぎる。ちなみに、遅刻しないように前日は羽田空港のホテルに宿泊したのにこの結果だそうです…。

 

津別にある西洋軒で夕食。塩ラーメンと豚丼が抜群においしい、津別四天王(自称)の榎本さんが経営するお店。写真のポーズは津別の『つ』ポーズ。

この日の宿泊はなんと津別から約130kmも移動、車で二時間以上走ったところにある知床ホステル ハナレに宿泊。大所帯のため、この日は一棟貸切!温泉大好きローカルおじさん達は到着と同時に温泉へまっしぐら。

1988・クスろ港・北海道ローカルマーケットも名を連ねさせてもらっている北海道のローカルメディアまとめ『HOKK UP』管理人の絹張くんもこの日、札幌から片道400キロのデスロードを走破して、ようやく夜に合流…!

21時頃に到着し、それぞれ温泉に浸かったあとは初日から大宴会。酔いつぶれてもそのまま寝れる宅飲みの安心感からか、翌朝は全員この有様。(実はここで体力の半分以上を消耗したのではないでしょうか)

ツアー二日目。知床から網走に向かう途中で流氷を眺める一同。

知床ウトロを出発し、斜里町へ向かう途中には流氷が!3月の中旬なので、見れるか不安でしたが、なんとか残っていてくれました。ほぼみんな初めての流氷ということで大興奮!

その後は北海道斜里町の峰浜地区にある、知る人ぞ知る人気パン屋『メーメーベーカリー』に寄り道。
この日は、本来お休みだったにも関わらず、無理を言ってランチ用のパンを焼いていてくれました。パンと一緒に柳下さんや皆さんがが買ってくれた本は、店内に設置されている知床のリトルプレス『
シリエトクノート』中山さんの本棚から。今回、斜里方面の段取りなどもつけてくださった中山さん、ありがとうございました!それにしても柳下さん、本が似合います。メーメーベーカリーは3月いっぱいをもって一旦閉店し、場所を立ち退かなければならないという、ローカルへの移住特有の問題にも直面することになりました。

北海道斜里町峰浜にある天に続く道にて、2年ぶり2度目の天上天下。

お昼は斜里町の温泉付き宿、『しれとこくらぶ』さんにて、ご馳走とメーメーベーカリーさんパンもいただきました。

斜里から移動し、網走市の北方民族博物館へ。オホーツク人の戦士に扮した柳下さん・木村さんと、間に挟まれる柿次郎さん。それにしても柿次郎さんの醸し出す捕虜感が抜群。

トークイベント会場でもある流氷硝子館に移動、オーナーの軍司さんから説明を聴く一同。(トークイベントの内容は後述)

最終日、暖かい気温の中、網走湖でワカサギ釣りを楽しむことができました!
見事ワカサギを釣り上げて大喜びの小林さん。

朝飯は自分の手で獲って食う! 釣った後は天ぷらにしてみんなでおいしくいただきました!

わかさぎの油のニオイにもきえーる。この旅の最中、様々なシチュエーションで登場していたアイテムでした。

この日のランチは網走の天都山流氷館内にあるレストラン、『cafe&restaurant 360にて。カニの足が一本乗ったカレーを食べる藤本さん。

北海道網走市呼人にある日本最北の醸造所、『倉繁醸造株式会社』。たってのご希望であったヒラクさんの無双タイム突入。味噌と醤油の製造工場を見学させていただきました。

その後は網走監獄博物館へ。溢れ出る哀愁。この2人本当に仲がいいなあ。今回北方民族博物館・網走湖でのワカサギ釣り・網走監獄の三箇所は網走市観光協会さまのご厚意により減免いただきました。ご支援、本当にありがとうございました!
5人のゲスト+1人によるトークイベント

1日目に見学に行った株式会社 山上木工『ISU-WORKS』の椅子

さて、ここからが本番、今回のメインイベントです。
開催地がオホーツクに決まり、ギリギリのスケジュールで進めた今回のイベント。直前まで決まっていない部分もあり、流氷ガラス館を見学するゲストを尻目に実行委員たちは全力で会場設営。
イベントが始まってからも、中西編集長のグダグダな司会に業を煮やしたゲストのダメだしが入り…結果、司会は柿次郎さんがやることに。
その後の進行なんて全く知るはずもないのに、スムーズに場を盛り上げていく柿次郎さん。経験とスキルの圧倒的な差を感じる一幕でした。

ショボい面よりイケてる点

トークイベント後半戦、ここからが本番です。
運営に対する厳しくも愛のあるダメ出しをいただく場面があったものの、それこそ今回のプロジェクトへのアンサーでローカル領域で何かを成そうとする人にとっての本質が語られていました。
第一線で活躍するローカルおじさん達から、鬼のように詰められる中西編集長をほんの少しだけ憐れみつつ、矢継ぎ早に飛び出す金言を逃さないように聴き入ることにしました。(ここからは臨場感を出すために対話形式です)

ヒラク:ちょっと言いたいことあるんだよね。北海道の自然と歴史を堪能してきたとか、会場にいるお客さんはそんなこと聴きに来たわけじゃないでしょ? まぁ皆さんが聞きたいことより僕が言いたいこと言っちゃうんだけど…。

柿次郎:めちゃくちゃだな!

ヒラク:拓郎くん(編集長 中西)はさ、神輿を担がれる気があるのかどうかって話だよね。

中西:担がれる?

ヒラク:今回のプロジェクトやって、こんなおじさん達呼んじゃってさ、SNS界隈を賑やかしちゃってさ、『やってやったぞ感』みたいなものはあるの?

中西:いや〜全然全然…僕なんて…。

会場全体:え〜(笑)

ヒラク:その全然全然とか言っちゃう感じが僕は問題だと思っていて。

柳下:神輿ってさ、軽くて派手な方がいいんだよ。

藤本:ちゃんと担がれろと。

中西:そうですねそうですね。まぁ道東と言えばオホーツクと言えば、拓郎に聞けばなんとかなると言われる立場にはなりたいと思っています。

ヒラク:あ、じゃあ担がれる気はあると。

中西:そういう意味ではそうですね。

柳下:そういう意味じゃないところではそうでもないと。

中西:(笑)いや〜でもあいつに聞けばなんとかなるみたいな奴にはなりたいですね…あれスベリました?

柳下:いやいや大丈夫大丈夫、それは覚悟の話だから。

中西:覚悟はありますよ! そのために僕はここでやってるんで。

ヒラク:僕も色んな地域で仕事する中で思うんだけどさ、道東だったら『流氷』とか『渡り鳥』とかコンテンツがあると思うんだけど、その中で新しい世代の人が一番この土地に来たくなる要素ってヒトなんだよね。

中西:そうですねそうですね。

ヒラク:それ自体は自治体の人とかも言ってるんだけど、それをもっと解像度高くして言うとね。『用事を作ってでも行きたくなるヒトがいるかどうか』なんだよ。

中西:と、言うと?

ヒラク:あそこの土地には頑張ってる若者がいっぱいいるんで…とか、マジ行きたくないのね。そんなの『ショボい面』じゃん。

中西:ショボい面!

ヒラク:今大事なの、『イケてる点』だから。

中西:ちょっと解像度高めに説明してもらえると…理解力に乏しくて…。

藤本:流氷はさ、奈良の大仏みたいなもんじゃない。象徴と言うか、また見に来ようっていうテンションにはならないよね。やっぱりあのヒト良かったな優しかったなみたいなのが大事で。それでもう一回来たくなる。今風に言うと関係人口ってやつなんだけどね。拓郎がそんな『会いに来てもらえるヒト=イケてる点』になれるかどうかなんだよ。

ヒラク:大事なのはさ、拓郎くんが『軽くて派手な神輿に乗る気があるのか』ってことと、『今回のプロジェクトのオーガナイザーチームが神輿を担ぐ気があるのかどうか』だよね。

中西:みんなで…乗ります?

柿次郎:みんなで!?

中西:あれ? そういう話じゃない?

柿次郎:ホワイトベースの話してるんじゃないんだから。

ヒラク:みんなで神輿作りましょうとか、マジ、ダメ。

中西:あ! 俺がやる感?

ヒラク:みんなからも意見もらいたいな。

小林:僕が住んでる長野県飯山市なんかは、同世代の仲間がいないんですよ。だからやっぱり寂しくて。もっと仲間がいればな〜と思ってたんです。でも今回のイベントは釧路とか十勝とか距離がある仲間とリモートで進めてたって聞いて。これを聞いちゃうと、自分ももう言い訳できねぇぞって。逆に俺も長野でこれやっていくぞって気に間違いなくなってます。

中西:ありがとうございます!

小林:地方でモヤモヤしている若い子がこのプロジェクトを知ったら、相当刺激になるんじゃないかな。

柿次郎:拓郎くんはそれくらいのすごいことをやっていると。ヒラクくん、どう?

ヒラク:………

藤本:俺的にはさっきの『派手で軽い神輿』っていう表現がすごく気になってて。いいなと思うわけよ。要するに、ひょっとしたら拓郎には軽薄さが足りないんじゃないかって。

ヒラク:あ〜そういう返し?

柳下:拓郎くん、本音あんまり言わないよね?

中西:ばれてる。

木村:さっき車一緒だった時に、もっと他の人たちも巻き込んだり「俺こういうことやりたいんです」って裸でぶつかっていかないと、本気で返してくれないよ? って言ったの。

ヒラク:そしたら? 拓郎は?

木村:「いや〜なんか自分でやっちゃんうんですよね。人にお願いができなくて」って。

柿次郎:担がれてない! チームのみんなはどんな気持ちで聞いてるの…?

時間の都合もあり、議論はまさかのここで終わりです…。

しかし、先頭に立って進んでいく人間がいかにして行動していくべきか。ローカルが人を呼び込むにはどうやって発信していくべきか。道東に暮らす僕達に常につきまとう課題の、解決策の一端を垣間見ることができたのではないかと思います。

一点突破と嘆きの共有。そしてローカルの自信

最後に、イベントの総括や今後の道東地方への展望を聴きました。

ヒラク:派手な神輿、一個作ろうよ。全体的に盛り上げていこうとかやめよ。最高のぶっ飛んだ神輿作ろうよ。以上です。

柳下:来てみて意外と近いし、コンテンツも多くある。一人で女満別に降り立ってもこんなに楽しめなかったと思うし、現地のアテンドがあれば、道東がこんなにカラフルで際立っているのを知ることができる。それを発信していくのが最初かなと思いましたね。

木村:一点に尖ることですね。僕のブランドも三年になるんだけど、尖ってると知られてくるようになるんですよね。あとは言い切ることが大事。「僕らの魅力って何ですかね?」って聞いているようじゃダメで、「俺はこれが得意なんだ」ってことを言い切ると知られていく。それを何回言えるか、何人に言えるかがすげぇ大事。言ってみて全然響かなければ、なんで響かなかったか考えればいいだけで。まずはそれを決めることかな。

小林:観光スポットなんて、基本の部分はどこでも一緒だったりする。だからこそヒトがやっている面白い動きだとか、共感できるものがもっとあるといい。競い合うのももちろん大事だけど、肩を組んでいくこと。嘆きの共有というか…。同じ雪国の長野県飯山と繋がってみたりだとか…。うまくは言えないけど、今後何か一緒にしていきたいと思っています。

柿次郎:オホーツクで積み上げてきた信頼の貯金があったからこそ、今回のツアーを実現できたんだろうなと。今回のプロジェクトや拓郎くんの動きをメディアっていう立場で記事にすることはできるけど、そっから先は拓郎くんがプレイヤーとして「俺がこうやりたい!」という意思を持って神輿に乗ること。そして全国に行きまくる。そんなうねりやムーブメントを作ることが、このプロジェクトの最終的なゴールに近づくんじゃないかな。

藤本:ローカルのプレイヤーって意外と少ないんじゃないかって。全国の色々なプレイヤーを見てきているけど、今回みたいにやりきっている人ってあんまりいない。そして、今回きっかけに出会えた人がたくさんいるけど、中でも道東テレビってすごいと思う。日本全国のケーブルテレビって地上波と比べてどこか卑屈になっちゃう部分があるけど、ケーブルテレビすら無い道東地域での取り組みは、もはやゼロイチの世界。メディア界に革命を起こすくらいの、それくらいすごいことなんじゃないかと思っている。これからも注目していきたいですね。

そして時間に限りのある中ではありましたが、会場の参加者からの質問で印象に残った部分を紹介したいと思います。

−−−尖っている人を創り出すというか、尖っている人になるためのゼロからイチというか…そこを生み出すための人の動かし方や気持ちの作り方が知りたいです。

藤本:全員がゼロからイチ作ったり、尖る必要はないと思っていて。でも周りを見渡したときに尖っている奴はいると思うし、その中に共感できる尖っている奴がいると思う。そこと一緒になったりフォローしたり仲間になったりっていうのが足りひんのとちゃうかな。

柳下:『二人目のダンサー』っていうのがあって。最初に踊る人は変な人だったりするんだけど、一人が踊っていると二人目三人目、そして全体へとムーブメントが生まれてくる。だけど最初に踊りだした尖った人って、周りが踊ってくれないと意外と踊り続けられない。だから尖っている人を無視しないであげて欲しいし、自分が尖っているなら周りを巻き込んで欲しいですね。

ヒラク:流氷にでっかいオオワシがとまってロシアの方を向いているのを見たんだけど、それがすごい良くて。北海道って考える時間がいっぱいある土地なんだなって。東京って色々やっているように見えて本質的に物を考える時間がないんですよね。流氷を見ながら3時間は考え事できるなって思って。自分に向かい合うことのできる時間があるからこそ、ユニークな感性が生まれる。色々なものが離れていてすぐに便利にくっつけることができないけど、その代わりに本当のユニークな物を生み出せる土壌がある。そこにブレイクスルーポイントがあるんじゃないかなって思います。

交わり、共に語り合う参加者たち

オホーツク中のプレイヤーはもちろん、道東各地、そして遠くは札幌からも網走まで駆けつけてくれました。これから動き出していく道東の未来を作った夜になったのではないでしょうか?

小林さんの鶴と亀の直販もありました!

ALL YOURS木村さんの商品も大人気で飛ぶように売れていました。

魚食系男子プロジェクト提供の料理もおいしかった!

cafe360を運営する(株)MID VILLAGEがドリンク担当!

絹張コーヒーも人気でした。

会場を提供してくれた流氷硝子館の軍司さん、本当にありがとうございました!

おわりに:『やってこ』と『フロンティアスピリット』

道東誘致大作戦 実行委員の四人。左から釧路(名塚・須藤)、オホーツク(中西)、十勝(神宮寺)

今回の『道東誘致大作戦』で、道東地方は何か変わるのか?

クラウドファンディングで広く資金を集めた結果、支援者に何を還元してくれるのか? (ステッカーとかそういうことではなくて)
色々な人の色々な想いが交錯している。当事者も参加者も傍観者も、好き勝手に考え、話し、持論を戦わせる。時に感情的になりながら。
正直、身も蓋もない言い方かもしれないけど、結末なんてまだ誰にもわかりません。実行委員ではないが二泊三日のほぼ全行程を同行した自分からしても、インプットが過剰供給されすぎて、全体像がまだ掴みきれていないレベル。
だけど一つ思うのは、今回の道東誘致大作戦は『道東地方の今後の在り方に種を蒔いた』ということだと考えています。使い古されて手垢の付いた表現かもしれないけど。

しっかし例えればこんなにえげつない農業って、他にないよなって感じしますよね。

そもそも何が育つかもわからないし、常に刺激を与え続けないと芽すら出ない。放っておくとすぐに腐るし、やっと若葉が芽吹いたと思ったら害虫に喰らい尽くされる恐れが常につきまとう。勝手にやって来ては文句を付けつつ焼け野原にして去っていく山賊みたいな人とエンカウントする恐怖。本当に茨の道ですね。
最後に、個人的な想いも少しだけ語らせて欲しいと思います。主催者と参加者、ちょうど中間の立場で同行したからこそ感じることができた部分も多いから。
北海道 道東地方の観光業に携わりながらライターとしても情報発信している立場として、様々な想いや迷いを抱えながら同行させてもらうことになりました。
正直、自分は今回のゲストの面々のファンだったし、芸能人と会える! みたいな感情が無かったと言えばそれは嘘。こんなにビックイベントに関われるなんて、自分の人生変わっちゃうんじゃね? 拓郎くんマジ感謝! くらいの甘い気持ちもあったのも認める。恥ずかしながら。

結果。イベントが終了して数日。自分の人生が大きく変わったかと言うと、そうでもない。だけど、自分が主体的に動いて状況を打開し、変わったことはたくさんあります。ゲストや主催者、参加者の想いに共感し、行動を見て感じ、薫陶を受けた結果、自分にそれをインプットし行動することで、吹っ切れた部分が大いにあると思っています。本当にありがたい。

柿次郎さんが事あるごとに言う『やってこ』という言葉。

文字に起こすとたったの四文字だけど、色々なものが詰まった四文字。自分は最初『やってこ』を「みんなで頑張ってやっていこうよ」みたいな単純な精神論だと思ったんだけど、今はそうじゃないないと感じています。
『やるべきことを明確にし、どのようにやっていくのかを本気で考え、新しいけど伝わりやすいように編集し、周りを巻き込みながら、最後に淡々と遂行する』
自分なりの解釈だけど、この言葉を忘れずにいたいなと思うのです。
自分は北海道の道東地方で生まれ育って、これからも生きていくであろう人間。
それが普通だからかもしれないけど、自分では北海道民の土着性というか、DNAのような物はまだよくわかっていませんでした。

何となくかっこいいと思って『北海道にはフロンティアスピリットがあるから』なんて上辺だけの言葉を使っていたこともあるかもしれません。
ただ、今回そんな北海道民のアイデンティティに少しだけでも気づくことができたのは収穫だろうし、環境ダイゼンやシゲちゃん、そして活躍の幅を広げる三代目達の創り出す価値を知ることができたのも圧倒的な財産。
なんというか『フロンティアスピリットの逆輸入』みたいな現象が起こり得るんじゃないかと感じています。本州から北海道へ移り住み、開拓し、想像を絶する苦労の末に築きあげた文化が、地域性と融和して北海道にしかないユニークさを生み出し、付加価値を伴って本州へ戻る。
オホーツクでいうところの、鮭の回遊みたいでもあるのかな〜なんて。外海で苦難を乗り越え、冒険の末に大きく育ち、生まれた川に戻ってくる。
そんなロマンを無理やり感じてみたところで、『道東誘致大作戦〜2018冬〜』の振り返りは終了です。だけどこれで終わりじゃない。結局、試されるのはこの先の行動次第なんて、本当に北海道って厳しく試される大地なんですね…。

文章:佐崎リョウ(@buena_sazaki ) 写真提供:鶴と亀 小林直博さん、クスろ港 名塚ちひろ・須藤か志こ

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今回、クラウドファンディングにて【企業協賛枠】をご支援いただいた協賛企業様をご紹介いたします。多大なるご支援、本当にありがとうございました! 

☆LLC Hokkaido Design Code(釧路市)

「日本中、世界中の人と繋がってワクワクする毎日に!!」
東京のIT企業に務める四宮が、「これからの世の中複業当たり前でしょ!」と、道東の細やかな情報発信webサイト「くしろはてな」のメンバーを巻き込み起業。 「東京から釧路に、どんどん情報の横流し」をしながら、住む場所ではなくマインドが大切なことを伝えようと、現在はイベント企画運営など手がけている。 今年、メンバーが在住する帯広では、「TOKACHI ICE PARK」の運営の一人として成功させるなど、地域での人との繋がりを広げている。
WEB:http://www.hkd-dc.com/

 

☆ デザイナーズジュエリー  buff(釧路市)

釧路からでも”出来る”を実現する、室蘭市出身の大谷が代表を務めるアクセサリーブランド。飛躍のモチーフとして、フェザーアクセサリーを制作。着用した人の自身と魅力を引き出すような力強いデザインが特徴で、多数のアーティスト・芸能人も愛用。男女問わず楽しめるようなアクセサリーを提供している。釧路はもちろん、日本国内にとどまらず香港でも出店を開始している。ファッション誌・ドラマ・映画の衣装協力も多数。
WEB:http://www.buff-shop.com/

道東誘致大作戦レポート!

道東誘致大作戦 2018冬

日程:2018年3月12日〜14日

CAMPFIRE:https://camp-fire.jp/projects/view/62603

Facebook:https://www.facebook.com/doto.yuchi.project/

Twitter:https://twitter.com/doto_yuchi_pro

 

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